私に会いたい?
携帯電話をなくしたと嘘をついてから数日間、私は貝のように沈黙した。
カシは何かを感じたのか、連絡してこなかった。
今までカシに使った時間を自分の時間に使おうと大好きな料理に没頭し、ヨガにも毎日のように行った。
でもふと考えてしまうのだ。
スペアリブの煮込みを作れば、
(あー、これはカシがすごく好きそう、、、。)
ヨガに行けば、
(身体が締まってきたなぁ、、、カシが喜ぶだろうなぁ、、、。)
といつの間にか思っている。
私はやっぱりカシが好きなのかもしれないなと思っているところで、カシと電話することになった。
カシは少し不機嫌で、開口一番私にこう言った。
ーーーーー
カシ「・・・ミィロス作戦なの?」
ミィ「・・・ミィロス作戦って何?」
カシ「俺に連絡しないで俺がミィに会いたいっていう気持ちを高める作戦だよ。」
ミィ「・・・・。」
ミィ「カシは引っかかったの?ミィロス作戦に?」
カシ「俺は引っかからない、逆にカシロス作戦するから。」
ミィ「・・・お互いにミィロス作戦とカシロス作戦をしたら、最後は自然消滅になっちゃうんじゃない?連絡しないってことは、お互い興味がないから連絡しないんでしょう?」
カシ「興味はありありだけど、駆け引きのために連絡しないってこともあるでしょう。普通は自然消滅する前に別れ話するよね、、、、でもミィの場合はそのまま自然消滅にしそうだから気をつけないとだわ(笑)」
ミィ「・・・・。」
ミィ「・・・ねぇ・・・カシは私に会いたいの?」
カシ「なに聞いてるの・・・。」
カシ「だから色々セッティングしてるんでしょう・・・。美術館のチケットだって、ミィと一緒に行くためにもらってきたこと、知ってるよね。」
ミィ「・・・・。」
不機嫌なカシは、今さら何を言っているんだという態度をした。
カシは、私に会いたい?って聞いても、絶対に「会いたいよ。」なんて直接的な言葉は言ってくれない。
カシが私に飽きたかもしれないと、邪険になったのかもしれないと不安になり、そんなカシも嫌いだし、不安になる自分も嫌になる。
本当に嫌になってこんなことの繰り返しはもう十分だと投げ出したくなるけれど、でもカシに戻ってしまう。
自分でもわからないけれど、これがカシのことを好きだということなのかもしれない。