ヤキモチを焼く人
カシの元カノの写真や奥様の写真を見たり、好きな女性の話を聞いたりするうちに、カシの好みの女性と自分は全く異なることがわかってきた。
付き合ってすぐの頃は興味本位で楽しく聞いていた話は、徐々に私の胸に刺さり、いったいカシは私のどこが好きなんだろうという不安でいっぱいになっていった。
そんなある時、ラーメン屋のカウンターでカシと並んでラーメンが出てくるのを待っていると、カシが少し嬉しそうに私にこう言った。
カシ「俺、カウンターのあの店員さん、好みの顔なんだよね。」
私が顔を上げると、そこには背が低く色白で誰が見ても可愛らしい女の子がカウンターの中で元気に働いている。
私と全く似ても似つかない彼女を見た瞬間、言いようもない複雑な気持ちが自分の中から溢れ出て、カシの前で一瞬顔が歪み、目に涙が溜まるのがわかった。
私はしまった、、、と思い、その場を取り繕うために、「店員さんは本当に可愛いね」、「私も彼女のような顔がタイプだわ」と何度も何度も笑顔でカシに言った。
その後、一緒にラーメン屋を出た後、カシは車の中で私に静かに言った。
カシ「あんなことミィに言うんじゃなかった。」
ミィ「・・・」
カシ「ミィが色々タイプのこと聞くから言ったんだけど・・・言った瞬間、ミィを見て後悔した。」
ミィ「・・・」
カシ「今、誰が俺の目の前に現れても、ミィへの気持ちは揺るがないから。」
カシ「・・・ミィはヤキモチ焼きだ(笑)。」
初めて自分がヤキモチ焼きであることがわかった。