お弁当は好きな人にだけ
カシに借りた道具のクワが壊れてしまっていたらしい。
筍狩りで借りた道具だ。
私はクワを使ったことがなかったため、壊れていることさえも気がつかなかった。
カシ『ミィ、クワが壊れてたけど大丈夫だった??』
ミィ『えー、そうなの?あんな感じだと思ってた、、、、、ごめんなさい。私が壊したんだよね、弁償するよ。』
カシ『うーん、じゃあ弁償はいいから、お弁当作ってくれないかな。ミィの煮物が食べたい。』
ミィ『えぇぇぇ。』
最近、カシは『ミィのお弁当が食べたい。』としきりに言うようになった。
私は料理がすごく好きであるため、付き合っていた当初色々とお弁当を持っていったが、あまりカシは喜ばなかった。
作ってもらうのは恐縮するとかなんとか、そういう理由だったように思う。
喜ばない男に弁当を作るほど私も暇ではないため、それから持っていくのを意識的にやめてしまった。
そんな状態だったのに、なぜ今さらお弁当作らないといけないだろう。
男というのは不思議だ。
押し付けると嫌がり、やめると欲しがる。
弁当は好きな人に作るから楽しいんであって、好きじゃない人には邪魔くさくて作れないんだよね、たとえクワを壊した代わりだとしても、、と思っている。