知らない、そんなこと
ケッキは私に言った。
『不倫に将来なんてないだろう。』
(当たり前じゃない、そんなこと。
将来、あなたの奥様の座につきたいなんて一言も言ったことないでしょう。
私には、今まさにあなたが私と一緒にいる選択をすることのほうが、毎日あなたが私と一緒にいたいと思うことのほうが、そんな紙切れ一枚より重要なのよ。)
と喉から出かかってやめた。
本当にムカついた私は、ケッキに当分会うつもりがないし、恋愛するのもやめると言った。
ケッキは、もう一度話し合いたいこと、私がケッキとの関係において求める理想的な形を教えてほしいと言った。
(知らない、そんなこと。自分で考えたら?)
とへそを曲げる。
ケッキは、一生私を思い続けること、毎日ツイッターで私に愛の言葉を囁き続けるから見てほしいこと、そして最後に見た私の姿を写真に収めたらよかったと言った。
(知らない、知らない、そんなこと。勝手にすれば?)
一度へそを曲げたらなかなか元には戻らない。