奥様に嫉妬しないのはケッキのおかげ
ケッキが奥様と派手な喧嘩をしたようだ。
ケッキは私に
『俺らは本当にダメかもしれない。』
『俺の妻への愛情だけでかろうじて家族の体をなしてたけど、今回の喧嘩で俺の愛情がほぼ冷めたんなら、家族でいるのは無理じゃないかって妻にはっきり言われた。』
『もう、ちょっと無理だろうなぁ、これは。一緒に暮らしてないってのが救いだね。』
とメールをしてきた。
ケッキは不器用だ。
やってない家事を見つけて要領よく手伝うようなことはできないだろうし、想定外の事態に対処することも苦手だろう。
ケッキは使えない夫ですよね、心中お察しします、、、と私は奥様に同情的だ。
ーーーーーー
私が奥様に嫉妬せずにすむのは、ケッキのおかげだ。
彼は私に事あるごとに
『ミィは俺にとって唯一無二だ。』
『何があってもミィのそばにいる。』
『ミィの幸せを願っている。』
と私に価値があることを常々言い聞かすように言う。
だから、奥様の話を聞いても卑屈にならなくて済んでいる。
不倫は薄氷を踏むようにする、そんな恋愛だ。
すぐに奥様と比較したり、変な情報に惑わされて疑心暗鬼となり、精神がグラリと不安定になってパリンと割れて終わってしまう。
そんな時、ケッキが私に価値があると言ってくれるのは本当にありがたい。
私にとっては、要領のよいケッキよりも、私の価値をあげてくれるケッキのほうがいい。
だって現世でケッキが夫になることなんてないもんね。